コラム

MTPEについて思うこと

あるミーティングに参加して、現時点でMTPEについて思ったことを書いてみた。

ずっとMTPEに違和感があった。
「修正する」という行為に違和感があった。
「MTPEでコストが下がる」ということに違和感があった。

AI翻訳を使うにはその癖を知った上で使わなければならない。
自分の訳とAI翻訳との差異が、分からなければならない。

MTPEは、翻訳エンジンの癖を知らない状態でいきなり「使いこなせ」と言っているように聞こえる。これには相当な労力を要するのではないだろうか。

素性の分からないものを相手に短期間で成果を出せといっているのだから、翻訳者に支払う報酬は高くなければならないと思うのだが、実際の報酬は低い。

癖が分かったとしても、コスト削減の理由がよく分からない。労力は翻訳と変わらないはずだが。

AI翻訳によって「コスト」を下げるには、AI翻訳の出力結果をそのまま使うしかないのではないか?

翻訳会社や翻訳者がAI翻訳によって受ける恩恵は「スピード」だけではないだろうか?

そして、もし高い翻訳精度でコストを下げるには、翻訳エンジンの癖を考慮した「良質な訳文」を学習させるか、プリエディットしかないのではないか?

だから、翻訳業務でのAI翻訳の使い道は、
1)お膳立てをした上で、AI翻訳の出力結果をそのまま使う ⇒ コスト削減
2)翻訳者が道具の1つとして使う ⇒ スピードUP
このどちらかしかなく、両立はあり得ないのではないか?

MTPE案件が増えてきており、MTPEにはライトポストエディットとフルポストエディットとがあるらしいが、
ライトポストエディットなら、1)で十分のような気がする。
フルポストエディットなら、2)と同等だろう。

なんだか、MTPEとは、翻訳者のコストを下げる口実にしか見えない。

そして、AI翻訳の精度が上がるほど、1)の比率が増えていくのではないか?
1)の品質で十分な翻訳対象は、「内製化」の道を辿りそうである。

「内製化」に翻訳者が貢献できることは、翻訳エンジン学習用の良質な訳文の作成や、プリエディットなのではないかと。

ところで、特許翻訳で1)が適用できる場合があるのだろうか。当然疑問に思うわけだが、どうやらあるらしい。一部の企業だけが考えていることかもしれないが、その程度で十分なものもあるとのこと。

これを聞いて正直ショックだったが、1)の需要があるらしいことが分かった。これを突き詰めるのも面白いかもしれない。

さまざまな立場の人の話を聞くのは刺激的ですね。

お膳立て講座でもやろうかな?

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